実はG2010のPEARSコースでは、シミュレーションを実施するかしないかの判断は、各トレーニングセンターや主催インストラクターに委ねられていました。
このブログをご覧の方の中には、シミュレーションを行わず、数人でテレビモニターを見ながらディスカッションする形式のPEARSコースを受講された方もいるはず。
それもAHAが認めた正式なコースでした。
G2010までは・・です。
G2015に切り替わった現在は、
「シミュレーションありき」となりました。
つまり、AHAが「PEARSではシミュレーションを行うように」と言っているのです。
私たちが提携している日本医療教授システム学会国際トレーニングセンター傘下の団体では、G2010時代のPEARSコースの時から、シミュレーションを省略しないコースを開催してきました。
それはなぜだと思いますか?
机上で得た知識だけでは動けないからです。
座った状態で落ち着いて考えれば分かる知識でも、臨床の場面では、ゆっくり考える暇なんてありません。
そのためには、「動けること」が必要です。
だからこそ、シミュレーショントレーニングに力を入れていたのです。
シミュレーションはファシリテーターによって中身が変わる
シミュレーショントレーニングは、医療業界だけでなく航空業界をはじめとした多くの業界に取り入れられているトレーニング方法です。
ただ、シミュレーションを効果的なものにするためには、ファシリテーターの技量に左右されると言っても過言ではありません。
例えば、「脈拍数は?」とファシリテーターに問うシーンは誰でも経験したことがあると思いますが、返答のタイミングによっては、「イケてない」トレーニングになることもありますよね。
さらに重要なこと。
それは、想定環境です。
例えば、PEARSコースのシミュレーションシナリオには、基本的な状況設定が記載されています。
「化学療法中の男児が発熱症状で・・・」
これはあくまでもサンプルですが、このようなケースに普段から対応している医療従事者がどれだけ存在するのか。
シミュレーションを効果的に行うには、「リアルな環境の疑似体験」が極めて重要なのです。
そのため、当会や協力団体では、G2010時代のPEARSコースの頃から、受講される方の職業背景に応じてシナリオを臨機応変に扱ってきました。
G2015のPEARSインストラクターマニュアルには、シミュレーションを効果的に行うためには、受講者に合わせて「状況を特定の場所に合わせても良い」と記載されています。
つまり、これまで私たちが行ってきたシミュレーショントレーニングですね。
救急救命士さんに対して「院内の想定」を行うのはイメージしにくいですし、クリニックの看護師さんに対して「化学療法中で入院中の想定」を行うのも難しいです。
小児救急を受け入れているER看護師さんであれば、トリアージしてもらう状況だって設定できるわけです。
Child Future 熊本のインストラクターは、小児救急の専門である小児救急看護認定看護師と、救急現場でのプロである救急救命士が在籍していることから、シミュレーションの状況設定については、様々な状況に合わせることが可能です。
シミュレーショントレーニングを効果的に行うには「状況設定」は軽視できません。
リアルな資機材を使用し、
リアルな状況設定で、
リアルなトレーニングを受けることができる団体は多くはないはずです。