第一印象の循環とは
「循環」では、皮膚の色や出血等の有無を観て、循環の状態を大まかに捉えます。
いわゆる、青白さやチアノーゼがあれば、循環に何か問題がありそうと考えますよね。
苦手ですか?「循環」
得意な方もたくさんいらっしゃると思いますが、「循環」は苦手ですと言われる方の方が多い気がします。
どうしてでしょう?
顔色が悪くて、手先が冷たくて、脈が触れなくて・・・
などの典型的な循環の問題であればだれでも分るでしょう。
しかし、典型的な症状ばかりではなく、顔色がピンクだったり、脈がしっかり振れていたりと、循環不全のタイプによって所見が様々で分かりにくいというのが、苦手意識につながっているのではないでしょうか。
「循環」で怖いのは?
「循環」は苦手! だけでなく、「循環」は怖い!と思われている方も少なくないと思います。
実際、見逃すと大変なことになります。
そして最も危険なのは「ショック状態」です。
ショック状態=血圧が下がっていると勘違いされている場合も少なくありません。
血圧が下がる、いわゆる「低血圧性ショック」は、ショックの晩期症状です。
低血圧の状態では、心停止はすぐそこまで(数分)迫っていると認識すべきです。
小児で多い「循環」の問題
小児で多くみられる「循環」の問題の多くは、脱水に伴うものです。
例えば、嘔吐下痢。
月齢が小さく体力のない小児は特に、数回の嘔吐と下痢が続くと容易に脱水を起こします。
脱水が進むと循環血液量が不足してショックへと移行します。
脱水は小児に多い「循環」の問題の一つです。
この脱水の状態が軽いうちに対応できるといいですよね。
医療従事者として怖いのは、嘔吐下痢を呈する患者さんが非常に多いことから慣れを生じてしまうこと。
常に謙虚に、そして体系的アプローチを駆使することこそがトリアージには非常に重要です。
「循環」の評価
「循環」を評価する時に観る皮膚色。
評価するのは、顔色だけではありません。
見えているすべての皮膚色ですから腕や脚などからも情報が取れます。
ぱっと見て青白い(蒼白)、口唇のチアノーゼがあれば「循環」が悪いと言えます。
頬が紅潮していると一見、顔色がよさそうでも、目の周りや口元などをよく見るとくすんでいたり青白かったりすることもあるので、注意が必要です。
では、評価としてはどうするのか。
これだけでは「循環」の状態が良いのか悪いのかはっきりしませんよね。
第一印象では、「顔色はよさそうだが、目の周りがくすんでいるようにも見えて、気になる状態」くらいのアバウトな評価で構いません。
なぜなら、「気になる」ならば、もう少し詳しく観察しよう。となるからです。
また、「循環」に問題が起こっている場合、ぐったりとして元気がない場合が多いので、たとえ顔色がよさそうでも注意して観察しようとなるでしょう。
「循環」に問題がある時の対応
では、「循環」に問題が起こった場合には、どのような対処が必要でしょうか。
出血していれば、部位を確認して止血します。
出血量が多くて、意識レベルが低下していれば、酸素投与や点滴を行います。
出血して体内の血液量が不足することで、ショック状態となります。
この時に、すぐにできる処置としては酸素投与です。
ショックの初期段階では、酸素を主要臓器に届けようと脈や呼吸を速くします。
酸素飽和度も保てていることが多いですが、無視しましょう。
酸素飽和度の数値が一見正常に見えると、酸素投与を躊躇する傾向が少なからずあるようです。
また、ショックの認識ができていないと酸素投与の必要性は考えないでしょう。
第一印象で「循環」に問題がありそうと認識することがショックに気づく第一歩です。
次は、第一印象のまとめです。