前回からシリーズで小児トリアージを連載しています。
先日の記事では小児トリアージの外観をお届けしましたが、今回は呼吸についてシェアしたいと思います。
目次
「第一印象」で観る「呼吸」
第一印象では「外観」「呼吸」「循環」の3つの視点から、直感で判断しますよね。
患者さんに触れることなく瞬時に情報を捉えるのです。
つまり、聴診器を用いたり、衣服を脱がせたりして「呼吸」の状態を観察するのではなく、見える範囲で大まかな呼吸の様子を捉えます。
何故「呼吸」が大切なのか
人が生きるためには、脳、肺、心臓の3つの臓器が重要です。
呼吸によって、肺に酸素を取り込み、血流に乗せて各臓器に酸素を運びます。
そして、酸素を取り込むだけでなく、二酸化炭素を出すことで、呼吸は完成します。
つまり、「呼吸」において、吸うことだけが大切ではないということです。
小児にとって「呼吸」の重要性とは
「呼吸」は生命維持の観点ではとても重要です。
ところで、胎児は「呼吸器」が最後に完成します。
そのため、呼吸機能は思春期まで未完成であると言われています。
小児期の特徴は、
- 呼吸機能が未発達
- 予備力が少ない
- 気道閉塞しやすい
などがあげられます。
つまり、小児にとって「呼吸」を整えていくことは生命維持の上で非常に重要であるということが言えます。
また、別の機会に詳しく述べたいと思いますが、小児の心肺停止のほとんどが、呼吸原性であると言われています。
それくらい、小児にとって「呼吸」は重要なのです。
「呼吸」の評価方法
第一印象での「呼吸」の評価は目と耳を使って評価します。
聴診器などの医療資機材は一切使いません。
つまり「変な音が聴こえないか」、「異常に速くないか」、「息をしているのか分からない」などです。
普段から何気なく評価していると思いますが、「第一印象」という言葉があることで難しく感じる方が多いのかもしれませんね。
さて、夏場の薄着の時期は分かりやすいですよね。
厚着だと分かりにくいですし、新生児などでは特に包まれていて見えませんよね。
そう。
しっかりと評価できない時もあります。
その場合は「呼吸の様子ははっきりしない」でいいです。
「気になる」からもっと詳しく観察しよう!となるでしょう。
第一印象ではそんなに時間をかけないので、評価できない時にはそれでもいいのです。
但し、それがアンダートリアージにつながると危険ですので注意が必要です。
気になるならきちんと評価を続けましょう。
トリアージで「呼吸」の評価を上手く実施するには
テキスト上では見たことがある単語(犬吠様咳嗽や吸気性喘鳴など)でも、実際に診た経験がないと判断し難いですよね。
また、所見の根拠を知っておかないと病態の把握は厳しいはず。
確かにある程度の経験が一番ですが、経験だけでは小児看護はスムーズに行えません。
大切なのは経験と同時に知識をアップデートしていくことです。
呼吸の状態を上手く報告するには
最後に、「呼吸」だけではありませんが、
状態を第三者に分かりやすく伝える方法です。
第一印象で、これはやばい!となれば人を呼びますよね。
その時、けいれんしていれば大声で「けいれんしています」と言えば、大抵の人は緊急性を理解してくれますし、必要な処置も進めてくれるでしょう。
そうではない場合はどのようにして緊急性を伝えるか。
自分がやばそうと感じたその情報をいかにして周囲に伝えることができるか。
ダラダラと状態を述べるのではなく、見たままであったり、一番気になる状態をズバリ伝えるといいでしょう。
例えば今にも呼吸が止まりそうな人がいて、すぐに医師に来てほしい時、
「〇才の女の子が、受診されていて、数日前から咳が出ていたそうですが、朝からひどくなって、薬は飲まれていたそうなんですが・・・」
こんな報告では、緊急性は伝わりませんし、結局何が言いたいのか分かりませんよね。
「〇才の女の子、死線期呼吸です」
一言で緊急性伝わりますよね。
その後で、状態と行っている処置を伝えます。
さらに、医師が到着するまでに行っておく処置を聞けたらなおよいでしょう。
このような報告の練習も行いたいですよね。
次回は循環についてお届けします。